不登校、20年前と較べて
2021/05/28
私が不登校になったのは中学2年生の夏でした。1998年ですから、今、不登校で悩んでいる十代のみなさんは、まだ生まれていない頃です。
当時を振り返ると、今とは大きく変わっている所もあれば、そんなに変わらないなあと思えるところもあります。
まず思いつく違いは、インターネットや携帯電話が今ほど普及していなかったことです。
私の実家がインターネットを導入するのが少し遅かったのもありますが、私が不登校になった時期に、ようやく自宅でインターネットを利用するようになりました。
youtubeなんてなかったし、ネットゲームもなければ、ネット経由で何かを購入することも、まだまだ一般的ではありませんでした。
ですから私が不登校になった時、不登校や進学についての情報を調べるための手段は電話を使うか直接足を運ぶことに限られるわけで、今にして思えば両親はずいぶん苦労したのではないかと思います。
今では大抵の人がインターネットを利用することで、たくさんの情報を入手できます。パーソナルアカデミーに来ていただく方も、多くはインターネットでの検索からお問い合わせを貰っています。うまく活用すれば、不登校に悩む家庭の心強い味方になってくれるかもしれません。
携帯電話が始めて我が家にやってきたのも、私が不登校になってから、しばらくたってからだったと思います。
当時はスマホなんてありません。たしかまだメールすら利用できない携帯電話だったような気がします。どこでもだれとでも、いつでも連絡を取り合える。
今では当たり前のことが当時は考えられないことでした。
当時の私は外出先で調子が悪くなる場合があったので、もし当時、携帯電話を家族全員が持っていれば、ずいぶんと安心できたのではないかと思います。
それでも、当時も今もあまり変わっていないところもあるでしょう。
すぐに思いつくのは、不登校に直面したときに、本人や保護者、学校も、そのことに対して基本的には無力であるという所でしょうか。
最近では、かつてに比べて、いくらか不登校に対して理解が進んだように感じます。(もちろんまだまだですが…)
学校も含めて、社会全体で取り組もうとする意識が出てきていると思います。
しかしそれでも不登校に対する「特効薬」のようなものはないのでしょう。
学校がなんとかしてくれる、親がなんとかしてあげる。そんな簡単な問題ではないのです。あらゆる不登校生の悩みを取り除ける、万能の解決策はありません。
はっきりとした正解のない中で、本人と保護者が悩んだり失敗しながら、自分たちの進む道を探していくのでしょう。
こればっかりは、どれだけ世の中が便利になっても解決できないような気がします。
でも、そうした親子をサポートしようとする人も確実に増えてきました。
そしてフリースクールだけではなく、不登校に悩む親子が相談できる場を、もっともっと増やさないといけないと感じます。