お父さんお母さんも本音をこぼしていい その2
2022/05/26
お子さんが不登校になった時に、お母さんお父さんは、お子さんの話題について本音交じりで話せる相手がいるでしょうか?
当然のことながら、学校に行けなくなってすぐ、まだまだしんどい時期には、親子間で本音を言い合うのは厳しいでしょう。
「まさかあんたが不登校になるとは思わんかったー。お母さんも仕事あるし、できれば学校行ってほしいんだけどねえ」
「いやあ、まあ仕方ないじゃん。諦めてよ~」
こんな会話は、ちょっと難しいはず。
いずれお子さんが大人になった時には、当時の気持ちを冗談交じりで振り返ってほしいですし、そうなってほしいと思います。
でも不登校になってすぐは、無理ですよね。
下手をすれば、親の側から子どもに向けて、本音を一方的にぶつけるだけになってしまいます。
だからお母さんお父さんも、しんどい気持ちを他の誰かに聞いてもらって「ガス抜き」できれば一番いいですよね。
そうすればお子さんにイライラをぶつける機会もグンと減ると思います。
かといって、お父さんお母さんは、家庭の外の人にも本音を話しづらい。
「子どもが不登校になったなんて外聞が悪い」
「何を言われるのか分からない」
「私の気持ちなんて、今はどうでもいいんじゃないか」
「話しているうちに、子どもの悪口になってしまいそうでイヤ」
こうしたことが気になって、なかなか他人に本音を言えない。
家庭の状況は説明できても、お父さんお母さんの自身の気持ちを話せないようになっていませんか。
学校の先生、病院のカウンセラーとか、親戚や友人。
誰かに相談に行ったとして、我が子のしんどさをたくさん訴えて、これからのことを相談して、アドバイスをもらって。
しかしお母さんお父さん自身の気持ちをしっかり吐き出せているでしょうか。
「ホントは不登校になんてなってほしくなかった」
「ホントは○○大学くらいには進んでほしかった」
「昼間自宅にいられるのは負担が大きい」
「これからどうなるのか不安でたまらない」
こうした本音を漏らしてしまったら、「不登校に理解のない大人」として見られないだろうか。
苦しんでいる子どものことを考えると、自分がこんな考えを持っているのはだめなんじゃないか。
「一番しんどいのは、学校に行けない子ども本人」
これは確かにそうだと思います。
しかし、お父さんお母さんも子どもたちと同じくらいしんどい場合もあるし、その気持ちをどこかで吐き出さないといけない。
そう思います。
誰かに話すことで、整理する、気づく。
言葉にすることで、ケリがつく気持ちもあるはずです。
だからカウンセラーという職業があるのかなと思います。
別にお母さんやお父さんが、フリースクールに来て
「フリースクールとかじゃなく、ちゃんと学校に通ってほしかった…」
と言ってもいいんです。
それはそれで本当の気持ちなんですから。
そうした個人の気持ちがある、親としてのそれぞれの価値観や願望がある。
それでも学校に行けていない子どものために、このままじゃだめだと思ってフリースクールを探して相談に来てくれたことが、とても素敵だと思います。
本当の気持ちはずっと自分の中にしまっておくというのも、その人の生き方だと思います。
しかしお子さんが不登校になった時、お父さんお母さんは否が応でも、それまでの考え方やお子さんへの接し方を見直さなければいけません。
とてもつらいですし、不安ですし、時に自分を否定されるかのように感じる時もあるでしょう。
そんな時に、不満や不安、怒りをグッと自分の中に本音を押し込めてしまいがちです。
でも「この人なら話しても大丈夫」という相手に、ちょっとだけ本音をこぼしてみる。
それだけで、視野が広がることもあると思います。