中学3年生での不登校のしんどさ
2023/06/12
6月になって、時折蒸し暑い日も出てきました…。
私は雨が降っていると、途端に外出のモチベーションが低下する人なので、梅雨が来ると気持ちが落ちこみます…。
さて話は変わって、この時期になると、いつも中学3年生の保護者の方のご相談が増えてきます。
よくあるのは、こんなご相談。
「来年、高校に通ってほしいけど、何も動いてくれない」
「全然勉強しないけど、受験できるのだろうか」
「このままでは内申点が…」
こうした中学3年生の保護者の方は、他の学年の保護者の方に比べて、ちょっと切迫した様子でしんどそうです。
当たり前のことですが、日本では中学三年生で義務教育が終わります。
それまで学校に行かなくても、どれだけ成績が悪くても、自動的に学年が上がっていたのに、中学三年生以降は進学というシビアな話題が出てきます。
中学受験をしていない子どもにとっては、高校受験が初めての受験になります。
その子の進路を選択するということ自体、人生初の経験となるかもしれません。
お父さんお母さんだって、初めてわが子の進路について悩む機会となるかもしれません。
例え私立に所属している場合などでも、中学三年生は特別です。
どの高校、どのコースに所属するかで、大学以降に大きく関わるのではないかというプレッシャーがこの時期には大きくなります。
中学三年生での不登校のしんどさは、こうした一般的なプレッシャーに加えて、待ったなしの期限を設けられている(かのように感じてしまう)しんどさから来ていると思います。
よく不登校の子供たちに対する接し方として、「お父さんお母さんは温かく見守って」というアドバイスがあると思います。
これは間違っていないと思います。
しかし中学三年生になると、どんどん期限が迫ってくるようなプレッシャーを感じて、お父さんお母さんが、「そうは言っても、これ以上は待っていられない!」という不安感を感じるのも無理からぬことです。なんせ4月から、学生でもない就職でもないとなると、「無職」ですから。
中学を卒業することの特別な感じは、義務教育が終わることに加えて、モラトリアムがないように感じてしまうことだと思います。(あってもいいと思うのですけど…。)
例えば、大学受験において、一年浪人することを認める保護者は少なくないと思います。
執行猶予(?)を与えるから、もっといい大学を目指せ、という。
受け入れる大学側も、別に受験生が何年浪人しようが、平等に扱っているはずです。
しかしそもそも高校受験はそういった、再チャレンジは想定していません。大人も子どもも、そんなこと期待していません。
中学三年生を卒業したその翌4月に、入学できる高校がなければ、(全日制普通科の)高校に通うことは諦めて、通信制などを探します。
よく「再チャレンジ」といった言葉を耳にしますが、転職や新卒の就職、大学進学に比べても、高校入試は、「その年、その4月までに」という時限が厳しいように感じてしまいます。
仮に制度的にオーケーだとしても、年齢が異なる同級生と同じ教室に通うことに、15歳の子は多分嫌がるでしょうから。
私たちはつい、「通信制高校があるでしょう」、「高認受けて、大学受験したら?」と言いがちなのですが、中学三年生の段階では、「”普通に”高校に通いたい!」と訴える子どもたちはまだまだ多いのです。やっぱり大変な時期なのです。
中学三年生で不登校にあるとき、本人も保護者の方も、どこかで「腹を括る」必要があると思います。
今までは不登校であっても「その時になってみないと分からない」「優しく見守りましょう」と言えたのですが、中学三年生だけはとりあえず、進路を取捨選択して、何かを決めなければいけません。
高校へ進学したいなら、がっつり勉強するつもりはあるか、内申点をもらいに中学校に行く気はあるのか。私立か、通信制か、その他の学校なのか。この辺りは決めないといけません。
あるいは、まだまだしんどいから、高校受験は見合わせるというのも、一つの手です。
さらには、わかんない、決められないから保留する、というのも一つの選択としてありです。
どれを選ぶにせよ、選ぶのは本人です。了承するのは保護者です。
そして選択した以上その結果を受け入れなければいけません。
子ども本人が「お父さんお母さんが決めてよ」というのは、ちょっと違うと思います。
高校生になるのです。半分大人になるのです。
できる限り、本人の想いが表に出せるように、私たちも粘り強く向き合ってあげたいです。
もしどうしても本人が決断できなくて、4月を迎えてしまったら、それもまた本人が下した決断だと言えるかもしれません。
保護者の方が、「頑張れ!」と発破をかけて、高校受験に向けて圧力をかけるのも、それはそれで一つの選択だと思います。それが絶対間違いだとも言い切れません。
上手くいくかもしれませんし、反対に子どもがとても傷つくかもしれません。
それぞれの選択がどういった結果をもたらすか、予測なんてできません。
だから最後は「腹を括る」しかないのです。
来年4月からどういった形になっても、結果を自分で引き受ける。
それが「腹を括る」ということだと思います。
これから生きていくうえで何度となく繰り返す、「選択し、その結果を引き受ける」その練習です。
しんどい時期ですが、粘り強く乗り切ってほしいです。
今月の親の会は6月17日13時からです。
パーソナルアカデミーに入会されていない保護者の方でもご参加いただけます。
ぜひお越しくださいね!