不登校になった時、ゲームに依存(?)しちゃう
2024/04/26
今回はゲーム(テレビゲーム、携帯型ゲーム、スマホゲームなど)についての話です。
子どもたちは学校に行けなくなった時、家で何をしている時間が多いのか。
統計では、「インターネット、動画視聴、ゲーム」が一番多いようでした。
私たちのところに相談にお越しになる方も、そうした回答が一番多いと思います。
そして、保護者の方からは、「ゲームに依存している」という言葉も良く聞かれますね。
昔から、不登校になって子どもがゲームに夢中になりすぎてしまう、というのは保護者の頭痛の種のようです。
かく言う私も、かれこれ二十年以上前の話ですが、中学校に行けなかった時期は、がっつりゲームをしていたものです。
当時はブラウン管のテレビに、初代のプレイステーションでした。
学校に行っていた時期もゲームはしていましたが、やはり不登校になるとプレイ時間は顕著に増えてしまいます。
当時の私が、ゲーム浸けになった理由は大まかにふたつ。
ひとつは、当時ゲームが本当に面白くて、どうにもやめられなかったから。(今でも良い思い出。あの頃遊んだゲームは結構覚えてますよ!)
ふたつめは、現実から逃避して、ゲームをしていることが楽だから。学校に行けない中で、家で勉強をしたりするのは無理でした。
今でも、不登校になりゲームにのめりこむ子たちは、似たような理由を持っているかもしれませんね。
ゲーム自体の面白さはもちろんのこと、学校に行かなくなってやることがない、ゲームをしている間は色んなことを忘れていられるのでしょう。
正直な話、私は、ゲームをいいものだ、と思っています。
異論反論はあると思いますが、ゲームってやっぱり楽しいものですし、そこから学びや発見に繋がることもありますから。
遊ぶことは人間にとって、とても大切な時間です。
ゲームはそのひとつの形に過ぎません。
不登校で学校に行けなくなった時、「ゲームに救われた」という子もいるでしょう。
不登校の初期の段階や、逆に学校に復帰する直前などの、大きなストレスがかかるときに、家の中で悩みを忘れて没入できるものがあるのは、ありがたいものなのです。
とはいえ、そんなゲームですが、やはり付き合い方を間違えると、やはりよくないですよね。
最近ちょこちょこゲーム依存というワードを目にします。
「依存」という言葉が果たしてふさわしいのか、私にはわかりかねます。
病気として取り扱ったり、どのような状態を「不健康」として取り扱うのか、まだまだ専門家の間でも、色々と議論があるのかもしれません。
しかし、誰がどう見ても、明らかにこれは一線を越えているだろう、という状態があるのもやはり事実です。
もちろん各ご家庭で、ゲームに対するスタンスは異なりますから、見ていて許せないラインもそれぞれだと思います。
そして、不登校のお子さんがいる家庭では、しばしばお父さんお母さんが強く出れないことがあるんだと思います。
「今はゲームしかすることがなさそうだし、ゲームの話題の時は笑顔だし…。」
「オンラインゲームの中で知り合った友達もいるみたいだから…。」
つい、強く出られない気持ちもわかります。
とはいえ、不登校であるかどうかに関わらず、お子様のゲームとの関わり方が、一般的に「そりゃ、まずくないか?」となっている時は、やはり話し合わなければいかないでしょう。
具体的には、
1.ゲームをする時間・時間帯・場所について鈍感になる。
時間に関しては人それぞれ…、としても、真夜中に寝ずにプレイする。
家族で食事中なのにスマホでゲームしている。
「今くらいは我慢したら?」という場面でもプレイしてしまう状態
2.他に優先すべきことがあるのに、ゲームを優先。
大切な用事があるのに、ゲームのせいですっぽかしてしまう。
食事、風呂、睡眠を疎かにしても継続してしまうなど。
3.家族や友人に対して、うそをついたり、ごまかしてまでゲームをする。
上のような状態になると、やっぱり周りは心配になるし、注意すると思います。
(まあ、若気の至り、熱中の段階…、と見逃す人もいる…、かもしれない…。
実際…、私自身、ここまでなら少なからず身に覚えがあるので…。)
でもやっぱり、周囲から注意されて当然、少しは改善の姿勢を見せなさい、となるでしょう。
そこからさらに深刻になって、
『ゲームに関連して、感情の制御ができなくなる、暴言、暴力をふるう。』
(ソフトを買ってもらえない、プレイを制限される、といったことでとキレる)
『健康に支障が出てくる』
(極度の運動不足、肥満、やせすぎ。睡眠の極端な過不足などなど)
『課金などの金銭トラブルが発生する』
となってくると、悠長なことは言ってられません。
外部への相談、介入も必要な段階とされるはずです。
こうならないために、各家庭でルールを設けておくのはある程度必要でしょう。
とりわけ、不登校の場合は、際限なくプレイ時間が長くなり、生活リズムが崩れることもよくあります。
タイミングは難しいですが、お父さんお母さんが不安なら、お子さんと話しあってみてください。
その際に、ゲームについてのルールは、親からの押し付けではだめだと思います。
というのも、子ども自身がある程度納得のできる現実的(?)なルールでなければ上手くいかないからです。
上手い例えではありませんが、労使間交渉とか、作業マニュアルとか、軍隊の交戦規定とか?
「現場のこと、何もわかっていないのに、こんなルールを押し付けやがって!」
ということが起こりえます。
(子どもたちの気持ちの上で)それと同じように、
「いや○○分できっちり電源落とすとか無理やし」「何にもわかっとらん!」
となると、ルール策定の段階で、意味がなくなります。
ですからゲームに関する家庭内ルールの話し合いは、親子が顔を突き合せた、ちょっとタフな交渉の場になるかもしれませんね。
子どもたちはゲーム用語も使って、一生懸命何かを伝えようとしてきます。
ゲームに接したことのない、お父さんお母さんの場合、理解するのが難しいかもしれません。
でも子どもたちの言い分は聞いてあげてほしいです。
理想は、子どもたちがルールの緩和を要求してきたときに、それが妥当かどうか、読み取る能力をお母さんお父さんが身に着けちゃうことです。
「ゲーマーの現場」を知っている状態にしてしまうことです。
お子さんがどんなゲームをしているのか、どういったことが楽しいのか。
見せてもらったり、教えてもらうことです。
なんだったら、少し触ってみてもいいかもしれませんね。
ルールつくりとは関係なく、親子の間でひとつの共通の話題ができるかもしれませんね。
↓参照したデータです。
ゲーム障害全国調査報告書https://www.cesa.or.jp/uploads/2023/info20230424.pdf