不登校と昼夜逆転
2021/06/11
不登校になった子どもの多くは、生活リズムが崩れてしまいます。
学校に通っていた頃のように、朝起きて夜は早くに寝る、といった模範的な生活を維持できる人のほうが少数派なのではないでしょうか。
多くの人は、いわゆる昼夜逆転の状態になってしまうようです。
原因はいろいろ考えられます。
そもそも、その日の予定がなければ誰だって早起きしたくないですよね。
これは大人でもそうでしょう。
学校、仕事や家事など、やらなければいけない予定があるからみんな頑張って朝起きているのです。
それが毎日続いているから朝きちんと起きるという習慣が保たれているのだと思います。
学校に行けなくなると、その習慣を維持する必要がなくなってしまいます。
ただでさえ気持ちの上で落ち着かず不安定になっている時期ですから、そのまま朝起きにくくなることは、良くあることなのです。
また、朝という時間帯に起きていることが精神的につらい、ということも考えられます。
朝は家庭も近所も慌しく動き出す時間です。
親、兄弟は出勤や通学のために準備を始めます。
自分は不登校で家に残るのに、「いってらっしゃい」、とそれを見送ることになります。
居心地の悪さを感じて当然ですよね。
さらに朝起きていると、外からは通学途中の子どもたちの声も聞こえます。
本来はその中に自分もいなければいけない(と思い込んでいる)、同年代の子どもたちの元気な笑い声です。
なんとなく罪悪感や後ろめたさを覚えるかもしれません。
不登校になってしばらくは、朝感じる周囲の雰囲気がしんどいと言う人は、やはりいるのです。
夜は夜で、布団の中でいろんなことを考えてしまい、なかなか寝付けなくなってしまうことがあります。
目をつぶりじっとしていると、これからどうなるのだろう、明日はどうすればいいのだろう、と不安になることもあるでしょう。
ネガティブなことばかり考えて、自分を責めたりするかもしれません。
逆に静かになった深夜だからこそ、安心できる人もいるかもしれません。
家族と顔を合わす心配もなく、周囲の顔色をうかがう必要もありません。
自分の時間を作れたような気になります。
また本来、寝ていなければいけない時間帯に夜更かしをしていることは、非日常的な体験です。
そうすることで現実から目を逸らしていられる、という人もいるかもしれません。
このように考えてみると、不登校なった子どもたち、とりわけ不登校になりたての子どもたちは、昼夜が逆転する動機がたくさんあることに気付きます。
ご家族が、「学校に行かなくても、せめて生活リズムだけは崩さないようにしようね。」と言ったとしても、それができる子と、難しい子がいるのです。
しんどい時期が過ぎ去ってから、乱れた生活リズムを整えることは、決して容易なことではないのは確かです。
今後のことを考えると、ご家庭の方針として、厳しく叱ってでも早寝早起きをさせるということも、一概に間違ってはいないと思います。
ただ、いずれの場合でも忘れないでいただきたいのは、多くの不登校の子どもたちにとって生活リズムを維持し続けるのはとても難しいということ。
かといって昼夜が逆転してしまっても、精神的にはしんどいままだということです。
不登校になると、どのような生活を送っていたとしても、『自分はこんな状態でいいのだろうか』という不安を、感じてしまうものなのです。