兄弟姉妹が不登校になった時、子どもたちは。
2022/06/07
兄弟姉妹がいるご家庭では、誰かが学校に行けなくなると、他の子にも少なからず影響が出るでしょう。
どういった影響が出るのかは、家庭の状況や、兄弟姉妹の関係によって異なりますが。
しかし兄弟姉妹の誰かが不登校の状態になったなら、
その子のお兄ちゃんも、お姉ちゃんも、弟くんも、妹さんも、みんな少なからずしんどさを感じているのではないでしょうか。
ちょっとだけイメージしてみましょう。
仮に、兄と弟で、お兄ちゃんが学校に行けなくなったと想定しましょうか。
(兄弟姉妹の配役は適宜入れ替えてしまいましょう)
それほど仲の良くない兄弟だとしても、もしお兄ちゃんが学校を長いこと休みだすと、そこはやっぱり兄弟なので、弟くんとしては心配になるはずです。
どうしたんだろう、兄ちゃんこれからどうなるんだろう。
それにお母さんとお父さんも、お兄ちゃんのことで暗い顔をしたり、心配したりイライラしたりするかもしれません。
何となくピリピリした家の雰囲気に、弟くんも落ち着かないはずです。
もし仲良し兄弟なら話し相手や、遊び相手となってくれるかもしれません。
同じ学校に通う友だちとは遊びづらい時に、兄弟姉妹とゲームしたりおしゃべりできることは、とてもありがたいことでしょう。
頑張り屋さんで気の利く子なら、ちょっと頑張っちゃうかもしれません。
「お兄ちゃんも、お父さんお母さんも、みんな大変そうだから、俺はちゃんとして安心させないと!」
自分にも何か悩みがあったとしても、「今は我慢」、となるかもしれませんね。
そうなってくると、当然不満だってあると思います。
お母さんもお父さんも、暗い顔でお兄ちゃんの心配ばかりしている。
自分だって色々聞いてほしいことあるのに、何か不公平だよな。
こういったことは、年下の弟や妹だけが感じるものではないと思います。
お兄ちゃんお姉ちゃんだって、「不公平だ!」と感じたって仕方ないです。
そもそも、学校に行かない兄弟姉妹をうまく受け入れられないかもしれません。
だって自分は眠い目をこすりながら、頑張って学校に行こうとしているのに、
お兄ちゃんが自室でまだ眠っていたら、「なんで?!」となって当然です。
そのくせお父さんお母さんも、「今はお兄ちゃん、仕方ない時期だから何も言わないでおこう」とか言う。
「矛盾してるやん! 俺には早く起きて学校行けって言うのに!」
これでお兄ちゃんが夜更かししてゲームでもしていようものなら、弟くんは怒り心頭ですね。
嫉妬と義憤となんかいろいろ混じって「兄ちゃん何しとんねん!」と攻撃してしまうかも。
そもそも兄弟姉妹全員が、学校が大好きで、学校の何もかもに満足、ということはないはずです。
学校に行っていて、「イヤだな、しんどいな、これ嫌いだな」というものは、誰にだってあるはずです。
そういったことを我慢した後に帰宅してみたら、自分のお兄ちゃんが、お姉ちゃんが、弟が、妹が、学校に行かずに家でゲームしている。
イラっとしても仕方ないなあ、と思います。
本人たちだって、どうしようもないことは分かっているんじゃないかな、思います。
「兄ちゃんが、なんかしんどくて学校に行っていないのは分かっとる」
「お父さんお母さんが、それにかかりっきりになってしまうのも分かる」
「お兄ちゃんはお兄ちゃん。オレはオレ。それも分かっとる」
「けれども、しかし…。」
どうしようもなくモヤモヤ。
理屈ではわかっても、感情が追いつかない。
仲の悪い兄弟姉妹なら衝突。
良くて無視。
気が付いたら、他の兄弟姉妹も学校に行かなくなったり。
兄弟姉妹の誰かが学校に行けなくなれば、家族である以上、多かれ少なかれ不安感は感じるのではないでしょうか。
そしてお父さんお母さんが、不登校のお子さんの対応に時間を割く分、その他の兄弟姉妹の不安は後回しになってしまう場合があります。
それでも彼ら彼女たちが今まで通りの生活を送ってくれているとしたら、大人たちはそれを当たり前と思わず、感謝をするべきだと思います。
「ありがとう」と言ってあげてほしいです。
そして必ず、「あなたは大丈夫? 無理していない?」と気遣ってあげてほしいです。
不登校になった本人にとって、そのお父さんお母さんにとって、兄弟姉妹がいてくれることが助けになることがあるはずです。
一人っ子家庭とは異なり、兄弟姉妹がいてくれることが、大きな強みになることだってあります。
兄弟姉妹がいなければ、憎まれ口を叩く相手だっていないかもしれないのです。
お父さんお母さんだって、知らず知らず救われているはずです。
だからこそ、誰かが学校に行けなくなった時、その兄弟姉妹にも目を向けて、時に感謝と気遣いを忘れないようにしてもらいたいです。