親子間での『会話のキャッチボール』その1
2020/09/06
邦画洋画を問わず映画の中で、「キャッチボール」する場面ってよくあるような気がします。親子の(とりわけ父子の?)コミュニケーションを表現する場面として、夕焼けをバックに、河原でキャッチボールしながら語り合う親子…、みたいな。
しかしたくさんありそうだけど、いざ場面を思い出そうとすると、意外に思い出せない…。
(ケビン・コスナーの「フィールドオブドリームス」は野球がテーマだから、そういうシーンがあって当然という気もする)
「宇宙戦争」のトム・クルーズが息子とキャッチボールしてたのが印象に残っています。
しかしこちらのキャッチボールは、親子の円満な関係や和解などを象徴しているのではありません。むしろ反対に、親子のすれ違いを際立たせる効果がありました(観ていてハラハラ)。
キャッチボールは単純にボールを投げあう作業だけれど、しっかり相手に目を向けて、呼吸を合わせないと上手くいかないものです。普段あまり顔を合わせない人や、言葉を交わさない間柄でも、キャッチボールの最中だけは、お互いの姿を正面から見ないといけない。そのことが嬉しかったり、気恥ずかしかったり、ついぎこちない動きになったり。物語の中に取り入れられるのはそのためでしょう。演出家の腕の見せ所です。
さて、よく「言葉のキャッチボール」と言います。
『しっかり相手の言葉を受け止めてから、自分も相手が受け取りやすい言葉で返しなさい。』
当たり前のようですが、これが意外と難しい。
家族の中ですら、うまく会話ができていないことが多いですよね。特に気づかいをしなくてもお互いの会話がスムーズに続く。そんな相手を見つけられることって実はすごく幸せなことなのかもしれません。
不登校の子どもに限らず、大人と真剣な話をするときには子どもたちは緊張してしまうもの。大人としては、子どもたちが伝えたいことをしっかりキャッチして、より子どもたちの本音を引き出せるような上手いボールを投げ返してやりたいものです。
「私はできている、そんなことは当たり前だ」
そういう保護者の方もいるかもしれません。
でも本当にそれが出来ているのでしょうか?
実際のキャッチボールでは相手のレベルに合わせなくてはいけませんよね。もしプロ野球選手と小学生がキャッチボールをしたら、プロ野球選手は色々工夫して相手をしてあげるはずです。山なりのボールを投げたり、お互いの距離を近くしたり。野球未経験の人かどうか、運動が得意な人なのか。相手のレベルに合わせてキャッチボールは行われるはずです。
子どもと『会話のキャッチボール』をする大人にも同じような配慮が求められます。別に子どもの機嫌を取って話す必要はありません。甘やかす必要もなければ、大人側の意見を正直に述べてもいいと思います。でも話の聞き方、意見の伝え方を子どもたちの目線に合わせてあげる必要があると思います。
不登校をはじめとして、色んな問題を抱えている時は子どもたちは決して上手な『会話プレイヤー』ではありません。大げさなことを言ったり、嘘だって言うかもしれません。卑屈な態度の一方で認めてほしいと思っています。話したいことはあるけれど、うまく言葉にできないし、そしてとっても傷つきやすい状態です。
大人目線で言えば、なかなか厄介な話し相手です。
そんな子ども相手に、親子間での『会話のキャッチボール』を上手にするにはどうするか、少し考えてみましょう。