履歴書に『不登校』と書くことができますか?
2020/10/28
先日、相談会で保護者の方から、不登校であったことを気持ちの面で吹っ切ることができたのはいつだった? というご質問がありました。
私自身はわりと早かったけど、でも不登校であったことを完全に吹っ切るには時間がかかる人もいるんですよ、とお伝えしました。
不登校の子どもたちが『吹っ切る』という場合には、色んな内容があると思います。
自宅にいてもイライラしたりソワソワしなくて過ごせる。
クラスメイトや近所の目を気にしなくなる。
進路について前向きに考えることが出来る。
家族に引け目を感じることがなくなる。
こういったステージへ進んでいくには、罪悪感や羞恥心を解消していくことが必要です。自分の現状をしっかり見つめて、良いことも悪いことも、ちゃんと受け入れることができるかどうかだと思います。
とても難しいことだと思います。
その難しさを保護者の方に認識してもらうために、こんなことをお伝えしたりします。
「究極のレベルでは不登校であった過去を就職活動の場面で披露できるかどうかです。」
大学に進学した元不登校生が3回生になってフラッと顔を見せてくれることがありました。
「就職面接で通信制高校に通っていたことを突っ込まれたらどうしよう…。」
(まあ、聞かれるかもしれないね。全日制に行かなかったのは何故?って)
「だって中学生の時、不登校で、学力も内申点もなかったんやもん…」
(うん、それを言えばいいじゃない?)
「印象悪くならへんかな…。なんか通信制を選んだ前向きな理由を…、嘘でもいいから今から考えといたほうがいいかな…?」
まだ自分の中で、きちんと受け入れることができていなかったのでしょう。
中学で不登校だったことや、本当は全日制高校に通いたかったのに、消去法で通信制高校に進学したこと。
通信制高校に通いながら、頑張って受験勉強もして、しっかり大学に合格して充実したキャンパスライフを送っているのに、心のどこかで「吹っ切れていない」。
新しくできた友人や恋人に大切な人に、不登校だったことをすんなりと話せますか?
人生の重要な場面で、あっけらかんと話題にできますか?
それが出来たら、本当の意味で不登校であった自分のことを吹っ切ることができた、と言えるのだと思います。
『自分は不登校を経験しました。本当は学校に通いたかったので孤独だったし、つらい思いもしましたが、ここまで頑張ってきました。そんな自分だからこそ御社で~!』
面接会場で胸を張ってこう言えたら、みんな楽なのになあ、と思います。